バックを造る時に心がける事

鞄に思いを込める

物を作り出すと言う作業は、とても単純に考えますと、作り手がいかにしてこの作品を作り出したかの結果のみが物を言いますよね。

そこに到達するまでの過程や、どんな想いが込められいるかは、あまり知られないのが殆どです。

最近は量販店などの大量生産で、安くて使い勝手のいいバックが出回っていますので、あまりこだわりを持たない方も多いかと思います。

ですが、やはりオーダーで作らせていただく機会をいただくと、やはり大量生産ではなかなか難しいこだわりをご相談される事がしばしばあります。

贈り物であったり、ビジネスマンの方は通勤のためのバックだったり。靴と同じで、長く愛用すればするほど愛着も湧きますし、オーダーの場合、作り手が補修できる利点もあります。

私が一番心がける事は、お客様の声をじっくり聞く事です。まずは何を目的としたバックなのか。

どんなデザインが希望なのか。素材はどんな物を望んでいるのか。簡単なデッサンを持ち込まれる場合もありますので、それをパターンで起こして作る事もあります。

やはり、機能的な問題などから、デザインを変更する時もありますので、そこをじっくり話し合うんですよね。

そうして少しずつ形になって行くバックを見て、お客様の愛着が益々湧いて来る。

私はそれを形にして縫い上げる。これは本当に楽しい作業です。

しかし、思い入れやこだわりがわかるからこそ、妥協は無いですよね。

完璧を求めてつい没頭してしまう事もしばしば。

納期までギリギリ仕上げる事もあります。

ですが、受け取ったお客様の笑顔や、使い潰すまで愛用して補修に来店された時は、表現しようの無い喜びを感じます。私の作るバックが、そのお客様の人生の一部になっているんだなと。

使い方によっては長く使えますが、やはり持ち手や底の部分の摩滅は避けられません。

その消耗具合を見ると、どれ位大事に使われているのか分かるんですよ。

雑に扱われたバックは、やはり傷みが激しい。

うちにオーダーに来られた方に、あまり激しい傷みがあるバックを補修に来られた方はいらっしゃいません。

皆さん一様に、手垢で黒ずんだ持ち手や、角が丸くなってしまった底の部分を補修されますね。床に投げたりしていたら、バックの腹の部分が傷むからわかりますよやっぱり。

少し傷が付いたり、変形したりするのは、使われる方の癖が関係したりしていますので、どんな用途に使われているのかを軽くお聞きしたりして、お手入れのアドバイスももちろん致します。長く愛用していただける作品を手掛けられる。

こんな喜び無いですからね。